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性行為以外にも注意!梅毒感染の危険性は日常生活の中にも

過去の病気かと思われている梅毒ですが、ここ数年は罹患者が急増しており、感染症発生動向調査(IDWR)2015年第44号(10月26日~11月1日週報)で、「注目すべき感染症」として「梅毒」を取り上げています。 梅毒は性感染症とされていますが、性行為以外でも感染します。梅毒感染を予防するために、性行為以外の感染するケースをまとめました。

梅毒とは?

梅毒 梅毒とは?
出典:www.asahi.com

梅毒は、最も代表的な性病の1つです。
昔から世界中で見られる病気で、日本でも現在では男女合わせて2000人を超える患者がいると言われています。

症状

梅毒の症状は、見かけ上健康な時期をはさんで、4段階で生じます。

第1期

梅毒 第1期
出典:fhugim.com

感染後3週間前後の潜伏期を経て始まります。
症状は、外陰部の初期硬結(性器周辺が固くなること)です。
この硬結ができる場所は男性女性ともにできることが多く、肛門、直腸、唇、舌、のど、子宮頸部、指などにできることもあります。

通常は1カ所ですが、複数できることあります。
初期硬結は次第に表面がただれて潰瘍(かいよう)になり、硬性下疳(こうせいげかん)という状態、大まかにいえば、びらん状態になります。
このびらんには梅毒トリポネーマが存在し、触れた人に感染します。

症状は感染後通常3~4週間で現れますが、早ければ1週間、遅ければ13週間後に生じることもあります。
その後、潜伏期に入ります。

第2期

梅毒 第2期

潜伏期間を経て、感染後6~12週間頃から全身に発疹やバラ疹(赤い斑点)が出ます。
痛みやかゆみは特に伴わないことが多いです。
さらに、リンパ腫が腫れてくることがあります。

すぐに消える人もいるのですが、数週間継続する人もいます。
場合によっては数カ月経ってから再発することもあります。
やがて症状は消滅しますが、この時期に梅毒感染を自覚する人が多いです。

患者の約25%は下疳が残ったままである。
全身症状としては,頭痛および骨疼痛と同様に,発熱,倦怠感,食欲不振,悪心,および疲労性などがよくみられる。

引用元: merckmanual.jp

第3期

梅毒 第3期
出典:ryanosure.com

感染後約3年を経て始まります。
症状は軽いものから重篤なものまでさまざまです。
主に良性ぶつぶつができ、心筋梗塞などを引き起こす心臓血管梅毒、身体機能の低下、精神疾患や認知症に似た症状を起こす神経梅毒の3種類の症状があります。

第4期

初感染後10〜25年経て心血管にも異変が生じます。
脳膜炎、まひ、精神疾患や認知症など神経系の病気も現れてきます。
しかも、経過は非常に悪いことが特徴的です。
骨、筋肉、肝臓、内耳、網膜などにも病変が生じます。

原因

梅毒 原因

梅毒は、梅毒トレボネーマ(トレボネーマ・パリダム)という細菌感染によって起こります。

梅毒トレボネーマとは、トレボネーマ・パリダムの一種です。
スピロヘータ科、トレボネーマ属に属する梅毒の病原体です。
熱に弱く、生息できる条件は限られている細菌です。
確実な培養法は、未だに知られていません。
熱や化学物質、消毒剤などを与えることで容易に死滅させることができます。

感染経路(性行為)

梅毒 感染経路(性行為)

第一期から第二期にかけ、びらんが表れており、このびらんには梅毒トリポネーマが存在しているため、この部位に触れることによって感染します。
従ってびらんが表れている第一期と第二期が感染力が最も強い時期です。

女性の約半数、男性では3人に1人が梅毒の初期に現れるびらんに気づきません。

引用元: merckmanuals.jp

通常の性交渉で感染する確率は、3割にも満たないといわれます。
実際、梅毒の感染経路の原因として最も多いのは、性交渉の前段階のいわゆる前戯行為です。
感染経路として代表的な性行為が、キスとオーラルセックスです。
また、コンドームの使用有無で、感染確率は大きく変わります。

梅毒にかかっている相手と性交を1回行うことで感染する確率は約3分の1です。

引用元: merckmanuals.jp

キス

梅毒 キス

梅毒の病原菌は、皮膚や粘膜の傷から体内に入り込んでしまいます。
自分でも気づかない小さな傷は、意外と多いものです。
特に口の中は傷つきやすく、細菌が侵入しやすいのです。
口内炎や歯茎からの出血などが頻繁にある人は、キスから梅毒に感染する可能性も少なからずあります。

オーラル

これは、梅毒感染ルートの代表的な行為です。
もともと性交渉に不向きの場所で、非常に傷つきやすいのです。
興味好奇心があっても、自分の身体は大切に考えて行動した方がいいでしょう。

梅毒に感染した人と直接皮膚や粘膜が触れ合うだけでも感染の可能性がありますが、オーラルセックスはよりリスクが高まります。

感染経路(性行為以外)

血液の針刺しから

梅毒 血液の針刺しから

梅毒の原因菌は、血液の中に存在します。
その血液を直接体内に取り込んでしまえば、感染する可能性は非常に高くなります。
輸血による梅毒感染は昔はありましたが、今では安全性は管理されています。

介護などで尿に触ってしまった場合は?

梅毒患者さんと日常生活において接触するだけで感染する、ということは通常ありません。
特に、尿は無菌なので、基本感染はまずないと考えていいでしょう。
同じ食器を使用するなどしての間接感染の可能性は考えられますが、実際は起こったケースは確認されていません。

その他

梅毒の母子感染(先天梅毒)

梅毒の母子感染(先天梅毒)

出典:www.premama.jp

性行為以外の感染経路で代表的なものは、母子から胎児への感染です。
お母さんとお腹の中の赤ちゃんは、胎盤を通してつながっています。
お腹の中で既に感染してしまうケースと、分娩が始まってから産道を通る際に感染してしまうケースがあります。

胎児の経胎盤感染の全リスクは約60~80%とされています。
母親における無治療の第1期または第2期梅毒は通常伝播されるが,潜伏期梅毒や第3期梅毒は通常伝播されないとされています。

引用元: merckmanual.jp

感染症法のもとで報告が義務付けされている「先天性風しん症候群」では、危険因子把握の重要性から、母親の妊娠中の風しん罹患歴やワクチン接種歴が届出項目になっています。
先天梅毒の報告も、感染の危険因子情報が把握できるよう、早急に検討する必要があります。

梅毒患者の推移

患者数は、1940年代にペニシリンが普及し始めると激減しました。
ところが、2000年以降は発展途上国だけでなく、再び先進国においても梅毒にかかる人が増えているのです。
若者の性生活の乱れ、劣悪な環境の性ビジネスの広がりによるところも大きいです。
また、梅毒という病気を知らない人も若い人には特に多く、感染しても病院に行かず適切な治療をせずに放置して重症化してしまうケースもあります。

感染者数

梅毒感染報告数の推移

梅毒感染報告数の推移

出典:blog.goo.ne.jp

横軸:1948年~2015年までの1年単位
縦軸:梅毒感染報告数
1948年~1999年3月までは性病予防法に基づく伝染病統計
1999年4月~は感染症法に基づく感染症発生動向調査の報告数

年間約11,000人の感染者がいた1967年を境に、患者数は減少傾向にありました。
ところが、近年は感染者数が増加傾向にあるため、厚生労働省も危機感を抱いています。
2012年は875人、2013年は1228人、2014年は1671人の感染者が発生したとされています。

感染率

近年、欧米では男性と性交をする男性(Men who have sex with men: MSM)を中心に感染が広がっていることが報告されていることから、国立感染研究所が日本における近年の梅毒の発生動向を調べています。
この報告を基に梅毒感染について述べます。

増加しつつある梅毒―感染症発生動向調査からみた梅毒の動向―(IASR Vol. 35 p. 79-80: 2014年3月号)

増加しつつある梅毒―感染症発生動向調査からみた梅毒の動向―(IASR Vol. 35 p. 79-80: 2014年3月号)

出典:www.nih.go.jp

2013年の梅毒総報告数は1,226例あり、前年2012年の総報告数875例に対して1.4倍に増加しています。
人口10万当たり発生率は2012年が0.7に対し、2013年は1.0と増加しています。
なお、感染症発生動向調査における梅毒の捕捉率について、年次変動を示すデータはありません。

症状は無症候が473例(38.6%)、早期顕症Ⅰ期が220例(17.9%)、早期顕症Ⅱ期が469例(38.3%)、晩期顕症が60例(4.9%)、先天梅毒が4例(0.3%)となっています。
2012年と比べると男女ともに無症候と早期顕症Ⅱ期の増加が目立っているのがわかります。

梅毒 感染率
出典:www.nih.go.jp

性別は男性が989例(80.7%)と多数を占めており、男性の人口10万当たり発生率は1.6でした(女性は0.4)。
年齢群別の人口10万人当たり発生率をみると、男性では25~29歳が3.9で最も高く、次いで35~39歳の3.4という結果から男性の20~50代の発生率はいずれも2012年より増加しているといえます。
女性では20~24歳が1.3で最も高く、次いで25~29歳の0.9です。

要因別感染者数

年別感染経路別報告数男性

年別感染経路別報告数・男性

出典:www.nih.go.jp

感染経路は、男性では861例(87.1%)が性的接触と報告されており、同性間または異性/同性間性的接触が443例(51.5%)と過半数を占め、そのうち同性間性的接触が432例(50.2%)、異性/同性間性的接触11例(1.3%)、異性間性的接触は309例(35.9%)でした。
女性は160例(67.5%)が性的接触と報告されており、異性間性的接触が141例(88.1%)と多くを占めているのがわかります。

リスク因子

国立感染症研究所が梅毒について感染症動向調査の結果より、リスク因子の検討について2つ紹介します。

MSM(mem who have sex with men)

梅毒 MSM(mem who have sex with men)

男性と性行為をもつ男性の総称。
同性愛とか異性愛などの"愛"には関係なく、行為そのものに注目した分類です。
わかりやすく表現すると、男性とも女性とも性行為を行う男性を指します。
従って、性感染症では最も高い危険群といえます。

梅毒やHIV感染の拡大を受け、
厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策研究事業
MSM の HIV 感染対策の企画、実施、評価の体制整備に関する研究
を実施しています。

梅毒男性(同性間性的接触)の年齢分布の年次比較

梅毒男性(同性間性的接触)の年齢分布の年次比較

2011-12 年、2009-10 年、2004-05 年(2009-10 年、2004-05 年は昨年度研究による)
感染症発生動向調査 2013 年 1 月 23 日現在

2011-12年の梅毒感染したMSM合計1,352例の年齢群別では、 同性間性的接触 512 例(37.9%)は、10 代後 半~70 代前半で報告され、30 代前半が最多で 20 代後半~40 代後半が多く、年齢中央値は 35 歳(16~71 歳)と他の性感染症よりも若い傾向があることがわかっています。
同性間以外の性的接触 651 例(48.2%)は、10代前半~80 代後半で報告され、30代後半が最多で、20代後半~40代前半が多く、年齢中央値は38歳(13 ~87 歳)となっています。
最も若い報告は異性間でという結果を得ています。

引用元: www.msm-japan.com

MSMによって男性間の感染から、感染した男性から若い女性への感染が示唆される結果が得られているのです。

先天梅毒

梅毒 先天梅毒

先天梅毒に感染するケースとして、
・妊婦が未受診
・継続受診をしていない
・妊婦とパートナーが梅毒検査を受けていない
・妊婦とパートナーが梅毒治療をしていない
・妊婦の治療が不完全
・妊娠中のパートナーの梅毒治療が未完全な状態での性交渉による感染
・他のSTDの既往・合併
・薬物/アルコール歴
・セックスワークなど
との関連性が考えられます。

しかし、現在の感染症発生動向調査の届出項目には母親の妊娠期間中の情報はなく、今後の対策に資するために必要な情報が十分に得られない状況です。

小児の先天梅毒は、妊娠中の性感染対策の不備に起因していると考えられる。
妊婦の梅毒検査の実施状況、妊婦の梅毒感染率、適切な治療と治療効果判定の有無、など、先天梅毒に関する疫学情報の把握を行い、適切な対策を行っていく必要がある。
梅毒は診断が下れば治療は比較的容易だが、診断の遅れから神経梅毒などを発症し後遺症が残ることも稀ではない。

引用元: www.nih.go.jp

感染4年以内の妊婦から生まれた児では 41% が先天梅毒,25% が死産,14% が新生児死亡,21% が低出生体重児で,正常な児は 18%にとどまるとの報告例があります。

日本産婦人科学会,日本産婦人科医会: 産婦人科 治療ガイドライン産科編2011.273-278,日本産 婦人科学会,東京,2011.
Ingraham NR Jr : The value of penicillin alone in the prevention and treatment of congenital syphilis.  Acta Derm Venereol 31 : 60-87, 1950.

上述では潜伏期には通常母子感染しないとしていますが、実際には潜伏梅毒でも母子感染する報告があります。

潜伏梅毒の妊婦から生まれ た場合の母子感染率は,第1期梅毒29%,第2期梅毒59%,初期潜伏梅毒50%,晩期潜伏梅毒13%と報告があります。

新庄正宜,岩田 敏,佐藤吉壮,他: 本邦におけ る小児細菌性髄膜炎の動向(2009-2010).感染症 誌86 : 582-591, 2012.

予防

梅毒 予防

梅毒感染を予防するには不特定多数の人との性交渉をしない、コンドーム着用するということです。
そして、びらんができている時期が最も感染力が強く、そのうえ、梅毒トレポネーマに感染しても約3週間は症状も現れません。
(第一潜伏期)
このようなことから、自分の性行動については自分で自覚しておく必要があります。

梅毒の予防には、100%ではないもののコンドームに効果が認められている。
増加傾向にある梅毒の国内外での動向を把握し、医療関係者や罹患率が高い層に対して予防の重要性を含めて情報提供していくことが必要である。

引用元: www.nih.go.jp

2011-12 年の梅毒男性の性的接触を除く (189 例)感染経路としては、母子感染 5 例、 輸血/血液製剤 2 例、針等の刺入 2 例、静脈薬 物常用 1 例等で 16 例あり、記載なし 6 例、不 明が 167 例に上っている。
また感染地域は、同性 間性的接触の 98.8%が、同性間以外の性的接 触の 96.2%が国内感染と報告されています。

引用元: www.msm-japan.com

増加しつつある梅毒―感染症発生動向調査からみた梅毒の動向―
(IASR Vol. 35 p. 79-80: 2014年3月号)

梅毒は近年、10~40代の男性同性間性的接触感染が急増してきています。
これは異性間性的接触による感染者が多くを占める感染症とは対照的な現象といえます。
同じくMSMが感染者の多くを占めるHIV感染症の新規報告数についても同様の結果となっています。
現行の感染症報告制度では各疾患の報告同士の関連が不明なため、梅毒と他の感染所との関係は把握が困難ですが、女性も増加傾向にあります。
可能性として、MSM間での感染の流行が波及しているといえます。
また、小児の先天梅毒は、妊娠中の性感染対策の不備に起因していると考えられます。
妊婦の梅毒検査の実施状況、妊婦の梅毒感染率、適切な治療と治療効果判定の有無、など、先天梅毒に関する疫学情報の把握を行い、適切な対策を行っていく必要があります。

引用元: www.nih.go.jp

まとめ

梅毒 まとめ

国立感染症研究所は梅毒を「注目すべき感染症」として警鐘を発しています。

梅毒は過去の病気ではありません。
また、単なる性感染症でもありません。
様々な感染経路があることを認識し、単に怖がるのではなく、正しい予防を行うことで感染拡大を防ぐことができます。

梅毒を疑われる症状が出たときは、パートナーと共に梅毒や性感染症の検査を行い、適切な治療をするようにしましょう。

最終更新日: 2016-09-21

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