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【うつ病の精神科療法】元気回復行動プラン(WRAP)の概要と効果について

WRAPはアメリカでメアリー=エレン=コープランドさんを中心に精神疾患を経験した患者さん自らが考案されたプログラムです。 毎日を元気に過ごすためのプランを一人で、もしくは集団療法的にグループで話し合いながら作成するものです。

WRAPとは

WRAPの起源

精神疾患を患い長い間治療を続けたにもかかわらず、人生を悲観していたアメリカ人のMary Ellen Copeland(メアリー・エレン・コープランド)さんが、精神的な困難を抱えている人たちと共に自身も苦しんでいた躁鬱病に対処して元気を回復する方法、「人生をイキイキと送る手立て」を見つけ出そうとした思いから始まります。

WRAPの意味

うつ病(大うつ病性障害) WRAPの意味
出典:www.prana-g.com

WRAPの意味としては上図の通りで詳しく説明すると

W:元気=いい感じ、元気な自分でいられるように、そうあり続けるためにする
R:回復=自分がどう生きたいか、自分の生活をどうしてゆきたいか、自分らしさや未来に向かって可能性を開く
A:行動=いい感じの自分で、自分らしく生きていくために、自分でできる安全・安心・手軽なやり方を実行する
P:計画=行き当たりばったりにせず事前に決めておく、また決められないときも自分のために行動を起こせるようにする

WRAPの進め方

うつ病(大うつ病性障害) WRAPの進め方

WRAPはひとりでもできますが、集団ですると効果的です。

WRAPは主に以下の2つ
・リカバリーに大切なこと
・元気に役立つ道具箱
をベースに、6つの状況におけるプランについて、自分や同じような悩みを持つ人の体験やアイディアについて、語り合います。
(集団療法の場合)

WRAPの実際

うつ病(大うつ病性障害) WRAPの実際

「他の人達はこんな状況になったとき、どのように対処しているのだろう?」というテーマをキーとして、自分の生活に責任を持ち、自分のために権利を擁護し、学び、必要なサポートを受けることを目的として進められる集団療法が一般的です。

WRAPの集団療法では、上図のように自分にニックネームを付けてグループ内でその名で呼び合い、お互いに悩みや解決策を探ってゆきます。

リカバリー

うつ病(大うつ病性障害) リカバリー
出典:blog.cabrain.net

リカバリーの概要

まずリカバリーについてですが、特定の到達点を示すものではないプロセスとして位置づけられ個別のものです。
失われた希望を取り戻し、自らの健康と生き方に責任を持ち自分の人生の主導権を取り戻すことが重要となってきます。
また、精神障害を通して自己を定義するのではなく新たな価値あるアイデンティティ(主体性)と人生の意味を見いだすことなどが、リカバリーの定義となります。

リカバリーに大切な要素

うつ病(大うつ病性障害) リカバリーに大切な要素

リカバリーに大切な要素として以下の5つがあります。

a.希望

つらい気分や行動をしている人も元気になれ、元気であり続け、人生の夢に向かって進むことができるもの。

b.自分に責任を持つこと

何が必要で何を望んでいるのかは、他人から指示されるものではなく、知っているのは他ならぬ自分自身である。
つまり自分が自分の専門家なのです。
生き方の主導権を取り戻し、自分の責任を引き受けることで人は元気で幸福を感じ、生活への充実感を感じることができるもの。

c.学ぶこと

自分が経験していることについて学ぶことで、人生のさまざまな事柄について良い判断ができるようになり、治療や暮らし方・職業・人間関係・余暇活動などに適切な意思決定ができるようになるもの。

d.自分のために権利を擁護すること

自分を信じ、自分の権利を知って尊重されるように主張することや、設定したゴールを達成するために努力することを通して効果的に自分のために権利を擁護することは、勇気・粘り強さ・決意を持って「手に入れること」を意味しており、自分に必要なものを手に入れるために明確かつ落ち着いて主張することが大切なもの。

e.サポートを得ること

他人からサポートしてもらう(人をサポートする)ことは、元気になり生活の質を向上させるための必要条件です。
相互サポートはその関係を利用し、より充実した豊かな人になることへのプロセスでお互いが成長し、変化する気持ちがあるときに最大限の力を発揮できるもの。

WRAPの特徴

うつ病(大うつ病性障害) WRAPの特徴
出典:kosmoceras.com

・元気になる、元気であり続けられることを助ける
・不快な気分や行動を把握し、気分が良くなるための行動プランを作成する
・とても気分が悪く自分自身で物事を決められないときでも、予め周りの人に何をして欲しいかを伝えておき、自分自身が安全でいられるようにする
以上の3点が主な特徴と言えます。

元気に役立つ道具箱を作成し、それを活かしながら6つのプランについて自分のWRAPプランを作成します。
これらのプランを完成させることで、WRAPは完成し日常生活のガイドとして、あるいは緊急な状況(クライシス)に陥る引き金や、悪い気分に対応するために使えるようになります。
また一度作ったら終わりではなく、使いながら改善点は随時手直しし常に変化してゆくものとなります。

元気に役立つ道具箱

うつ病(大うつ病性障害) 元気に役立つ道具箱
出典:blog.goo.ne.jp

最初のステップであり、元気であり続けるため、あるいは気分がすぐれないとき元気になるためにこれまで行ってきたことをリストにしたものとなります。
これらのリストの内容を「道具(ツール)」として使って自分のWRAPを作成してゆきます。

たとえば、音楽を聴く、頓服薬を服用する、人に話を聞いてもらうなど
集団療法においては、上図のように模造紙へ各自のツールを書き出すなどします。

6つの構成プラン

うつ病(大うつ病性障害) 6つの構成プラン
出典:suto-mental.com

a.日常生活行動プラン

元気を保つために毎日しなければならないことを書き出し忘れずに毎日行うことが重要なステップとなります。

このプランでは、元気を維持するためにやるべき事を意識し、その日に何をするのかを決めるのに役立ち、調子が悪くなったとき何をしたら元気になったかを思い出させることにも役立ちます。

最初に、良い感じの時の自分はどんな人なのかを示すリストを作成します。
たとえば、明るい、友達が多い、よくしゃべるなど

b.引き金となる出来事に対処するプラン

引き金とは、気分が悪くなったり調子を乱すきっかけとなる出来事や状況をいいます。

そのような出来事や状況に遭遇した時そのまま放置しておくと、気分が悪くなったり調子を乱す原因となる可能性に気付き、その様なときのために予めプランを立てておくことで、悪化を予防することができます。

最初に、調子を乱すきっかけになる可能性をリストにします。
たとえば、睡眠不足、人混みにいるとき、子供の声を聞いたときなど

次に、その対処としての行動パターンをリストにします。
たとえば、睡眠を充分に取る、人の多いところへは行かないなど

c.注意サインに対処するプラン

注意サインとは、自分の内側に起こっていることで、外部からのストレスとは関連なく起こることもあり、行動を取らなければならない兆候のことです。

最初に自分が気付いている注意サインのリストを作成します。
たとえば、朝スッキリ起きられない、胃痛、他人から悪口を言われている気分になるなど

次に、注意サインに気付いた時それ以上に悪化することを防ぐため、気分が改善するまで毎日すべき事のリストを作成します。
たとえば、ゆっくり眠る、いま自分が調子が悪いことを認識するなど

d.調子が悪くなっているときのプラン

調子が悪くとても深刻で危険すら感じる状況にまで悪化することもありますが、それでも自分のために行動を取ることはできるもので、それがとても重要なことで、クライシスを未然に防ぐために迅速に行動する必要があります。

最初に、調子が悪いときの気分や行動のリストを作成します。
たとえば、眠れない、悪いことばかり想像する、イライラして怒鳴るなど

次に、調子が悪くなったとき毎日の行動プランを作成します。
これは選択の余地があまりない明確で指示的なものである必要があります。
たとえば、日常生活行動プランに従う、他人に相談するなど

e.クライシス(緊急状況)への対応プラン

クライシスとは、自分のケアの責任を他人に委ねなければならないような緊急の状況であり、自分の状態が悪くなったときに、どのようなことをしてもらいたいのかを周囲の人に周知してもらうためのプランとなります。

クライシスプランには、9つのパーツがあり予め作成したものを周囲の人に渡しておき、渡された人が使うものとなります。

①いい感じの時の自分について
 日常生活行動プランと同じ

②誰かに任せなければならない時のサイン
 しゃべらなくなったり、物事を被害妄想的に捉え始めたときなど

③責任を任せたい人は誰か?任せたくない人は誰か?
 責任を任せたい人を最低5名以上あげておくことと、併せて任せたくない人とその理由も書いておくと効果的

④医療・福祉関係者の連絡先と服薬情報
 かかりつけ医師の連絡先、お薬手帳や健康保険証のある場所、アレルギー情報などを記載

⑤受けても良い治療と受けたくない治療
 処方内容に関する希望、役立った代替治療、役に立たなかった治療を記載

⑥自宅でのケア、一時休養プラン
 入院が最善とは限らないため、自宅で受けられる支援について調べ記載

⑦入院しても良い病院と、したくない病院
 入院が避けられない状況となった場合に、入院しても良いと思う病院とその理由、および、入院したくない病院とその理由を記載

⑧周囲の手助けリスト
 してもらえると役立つことや、逆にされると悪化することなど、人にしてもらうことについて記載

⑨クライシスプランに従わなくても良くなったことを示すサイン
 身の回りのことができるようになったり、普通にしゃべられるようになるなど改善のサインを記載

f.脱クライシス(緊急状況を脱した時)プラン

クライシス後のプランは、回復するにつれて絶えず変化するという点でWRAPの他の部分とは異なってきます。

クライシスを脱した後の癒しの時期はとても重要であり、焦っては再びクライシスに陥る危険性をはらんでいるので、クライシスに陥る前にこの時期のことを以下の項目に従い考えておくことはとても重要となります。

・クライシスを脱したときのサインは?
・回復していく自分の感覚はどのような感じか?
・サポートしてもらえると助かること、それをサポートしてくれる人は?
・自分の責任を取り戻すためのプロセスとは?

WRAPがもたらす効果

うつ病(大うつ病性障害) WRAPがもたらす効果
出典:macaro-ni.jp

WRAPとは一言で言うと、“自分が元気になるためにつくった道具(ツール)であること”と言えます。

WRAPは“自分を大切にしていいよ、自分の身体や心の声に耳を澄ませてみて、したいこと、やりたいことがわかるから”と、あわただしい日常生活のなかで立ち止まって、自分に問いかけてくれる装置なのです。
どうしてよいのかわからないときは、“自分でつくったプランを見れば、ヒントが書いてあるからそれに従ってやってごらん、なんとかなるよ”と言ってくれる道具です。

以上のことから、WRAPというのは自分の取扱説明書、仕様書のようなものであり、自分でしか作り得ないものとなります。
そして作成した本人が常に元気に人生を楽しめるようにするための手助けになることでしょう。

最終更新日: 2016-09-20

タグ:
うつ病(大うつ病性障害)

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