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【胞状奇胎の手術・治療法まとめ】治療後は妊娠可能?診断で見られるhCG値とは?

めでたく妊娠をし、お腹の赤ちゃんが順調に育っていってくれているかを判断するには、いくつかの検査がありますが、血中や尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの多い少ないで判断されることもその一つです。 今回は、そのhCGの分泌でわかる妊娠した人に起こる少し厄介な病気を見ていきます。

1人の医師・医学生がチェック済み

胞状奇胎とは?

短径2mmの胞状の絨毛

短径2mmの胞状の絨毛

出典:pathology.or.jp

精子と卵子の受精後、受精卵は子宮に来てから子宮内膜に着床して、胎児へとなる「胎芽」と胎盤を形成する「絨毛」とに分かれます。
この絨毛は胎芽と臍帯で結ばれており、母胎からの栄養や酸素を吸収する細かい毛の組織です。

ところが、これが時として病的に異常増殖してしまい、水泡状のぶどうのような粒が子宮内に広がることがあります。
これが「胞状奇胎」という病気で別名「ぶどうっ子」とも呼ばれます

とくに、アジア地域に多い病気で欧米の3~4倍の発生率です。
日本でも分娩の350~500例に1例の割合で発生しています。

また、胞状奇胎は2つの種類があり、子宮内で胎芽の発育が全く認められず絨毛が占める「全胞状奇胎」と、絨毛が増殖しても胎芽の発育も認められる「部分胞状奇胎」があります。

原因

胞状奇胎は、受精のときの精子と卵子の異常によって起こると考えられています。

具体的には、全胞状奇胎は核がない無核の卵子や本来の働きを失った不活化した卵子に、1個または2個の精子が受精することにより起こり、一方、部分胞状奇胎は正常な卵子に、2個の精子が受精して起こります。

つまり、本来の正常な妊娠では、夫からの遺伝子:患者の遺伝子=1:1の割合で胎児に移行するのですが、全胞状奇胎では夫からの遺伝子だけとなり、患者の遺伝子が入っていません。

また、部分胞状奇胎では夫からの遺伝子が患者の遺伝子の2倍入ることになります。
このような精子や卵子の遺伝子異常が胞状奇胎の原因です。

主な症状

胞状奇胎での自覚症状としては、出血や腹痛、つわりの悪化があげられます。
これは絨毛の異常増殖で妊娠維持が不安定なため、不正な出血と腹痛を起こし、さらには、つわりの原因でもあるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌する量の増加で、つわりもひどくなるのです。

ただ、出血と腹痛の症状は流産しかかった状態である切迫流産でも起こるので、断定は今後の検査を待たなければなりません。

違う病気に進展することも

胞状奇胎 違う病気に進展することも

侵入奇胎

胞状奇胎から発展したと思われるものに侵入奇胎があり、これは胞状奇胎の組織の一部が子宮筋層や血管の中へと侵入したもので、腫瘍性病変を形成する病気です。

そのため、一種の前癌状態であるされています。
この全症例のうち、約30%が肺などへ転移するので、早期に胞状奇胎を確認して除去して置くことが必要となり、抗がん剤を使う治療などが行われます。

絨毛癌

胞状奇胎にまつわる病気の中で、最も重大な病気が絨毛癌です。
これは胞状奇胎の絨毛からできたり、流産や死産、正常分娩の後に残った絨毛がガン化したものをいいます。

ガン化の原因は不明ですが、これらの妊娠後、数か月から数年の間に発症し、転移やその進行は速いので、難しい癌だとされていました。
しかし、現在では正確な診断と適切な治療により、ほとんどの患者さんが治癒されています。

これを絨毛癌の発症から5年後の生存率で見ると、癌が子宮内に留まるⅠ期では約90%程度、子宮を越えても性器に留まるⅡ期では約80%であると報告されていますが、肺への転移を認めるⅢ期では約65%程度、肺以外の臓器に転移を認めるⅣ期ともなると約30%程度とその生存率は下がり、早期発見と早期治療が求められる病気でもあります。

合併症

胞状奇胎では感染症に罹りやすかったり、尿タンパクの増加で高血圧が重度となる「子癇前症」を発症させたりする合併症も伴うことがあります。
この他にもたくさんの合併症を伴いますが、とくに子癇前症は妊娠中毒症とも呼ばれ、胎盤が通常よりも早く剥がれて、胎盤の機能不全を引き起こすことが多いです。

もともと、胞状奇胎では正常な受精卵から赤ちゃんが育っていかないため正常な分娩は難しいですが、とくに子癇前症では、産まれたとしても早産や産まれてからの赤ちゃんが小さいなど、新生児に問題が起こる可能性があります。

妊婦の自覚症状としては、長時間続く頭痛や両眼周りの腫れ、手足のむくみ、タンパク尿、血圧上昇などが典型的です。
ただ、血圧上昇で痙攣発作を起こす患者もおり、このような状態を「子癇」と呼んでいます。

こんな症状が出た場合、軽度のものはベッドで安静にし、医師の診察も受けるようにしてください。
稀に起こる悪化の症状では、入院をして胎児が安全に分娩できるように、注意を十分払いながらお腹の胎児の経過観察をしていきます。
そして、必要に応じて降圧薬などを使いながら、通常の分娩を行います。

これらを予防するには高血圧やタンパク尿が起因してますから、妊娠中は日頃から過労やストレスは避け、バランスのよい食事を摂るように心がけてください。

hCG値で診断できる?胞状奇胎の検査方法

MRI装置

MRI装置

妊娠中の定期検診では、妊婦の健康状態と胎児の発育を調べて、妊娠に合併しやすい病気の早期発見のために各種検査があります。
その際、hCG値が胞状奇胎の診断や治療の目安となるわけです。

血液検査

血液検査は定期検診で、国からも義務付けがあるほど大切な検査です。
例えば、感染症の早期発見治療による胎児奇形リスクや早産死産などの回避が主な目的です。
当然、血圧測定をし、子癇前症などの病気にも気を配りますが、血液中のhCG値の測定は欠かせません。

この絨毛から分泌されるホルモンのhCGは、卵巣内の黄体を刺激して黄体形成ホルモンの分泌を促し、妊娠活動の維持につとめる働きを持ちます。

したがって、妊娠5週目でのhCG値の通常値である1000(mIU/ml)以下を目安として、これよりも異常な高値を示す場合は妊娠維持の困難を表し、胞状奇胎の可能性があると医師は診断します。

よって、妊娠が判明してからの超音波検査などで、もし胞状奇胎が疑われた場合にはたとえ健診前であったとしても、hCG値の測定のために血液検査をなるべく早い週数から受けておくことは、とても有効であるのです

超音波検査(エコー)

超音波検査は高周波音波を当て、その反射波をコンピュータ処理した画像で見ます。
それから放射線ではありませんので、妊婦や胎児の安全において安心な画像検査です。
この超音波は直進性が強く、体の各組織などの組成の違いで、直進性に差が出て、それをコントラストとして画像に現わしたものです。
だから、胎児などはよく見えるようになります。

また、胞状奇胎は俗によく「ぶどうっ子」とも呼ばれますから、ぶどうの房状の泡の塊が見えることがあります。
しかし、胞状奇胎と判断するには、多数の陰影はあるものの粒状になっているのかが分かりにくく、この時点での超音波検査所見では胞状奇胎の診断は難しいようです。

また、稀にhCG値が通常値のままの胞状奇胎もあるため、不正出血と腹痛という症状だけでは流産との鑑別や複数の所見が考えられるため、胞状奇胎の判明には、さらにその他の検査を進める必要があります。

MRI

MRI装置は核磁気共鳴画像法という高周波の磁場を体に当てて、人体内の水素の共鳴反応で起こる信号を画像化する方法を利用した装置です。
とくに、水分の多い臓器の撮影に優れていて、脳や血管、脊椎、子宮、卵巣などの画像を三次元的に見ることができます。

X線CTと比べても画像が鮮明で、何よりも放射線被曝がない点では、子宮体周辺の撮影には適しています。

したがって、胞状奇胎では超音波検査よりも鮮明な画像が、MRI装置で確認できますが、胞状奇胎が明らかになるのは、顕微鏡で肉眼的に確認する病理検査後に初めて判明することが多いようです。

胸部X線検査(レントゲン)

胞状奇胎では同時に、絨毛癌の発症と肺への転移を疑わなければなりませんので、絨毛癌の検査のために行われるのが、胸部X線検査です。
いわゆるレントゲン検査のことで、私達がよく知っている検査です。

これは、X線が人体を通り抜けますが、通り抜けにくい所との間で濃淡ができる画像となります。
病気のある所には空気がたくさん集まり、通り抜けにくく黒く写ることから、病気を見つけるのに役立ちます。

つわりの回数

通常妊娠で5~16週に妊婦の8割程度が経験するつわりですが、胞状奇胎は進行が早く、hCGの分泌が大量になりますから、つわりの回数は極端に増え、血液中のhCG値も異常な高い値を示します。

したがって、妊婦の自覚症状としては腹痛や不正出血の他に、急激なつわり悪化と回数の増加があった場合、胞状奇胎の可能性もあると判断できますから、医師の診察が必要です。

治療方法は?

胞状奇胎 治療方法は?

子宮内容除去手術

胎児の生存や成長が見込めない胞状奇胎において、最も有効な治療としては、子宮内容除去手術(子宮内掻把術)があります。
この手術は5~7日ほど日にちをあけて、2回行われます。

このとき、子宮が軟らかくなっているので、除去操作時に穴を開けないで、なるべく完全に子宮内容物を取り除く必要があるため、2回行うことが多いです。
これは、後に起こるかもしれない残存物からの胞状奇胎の再発や絨毛癌の発症などのリスクを小さくして置くためです。

また、手術自体は短時間で行われ、麻酔を使うために痛みはありませんが、手術前に子宮口をスティック状の子宮頸管拡張器で徐々に広げる際に、下腹部に痛みを感じることがあります。

この手術では取り出した子宮内容物の病理検査を行いますが、今まで総合的に判断して、胞状奇胎であるとしていた病状が、このとき100%胞状奇胎であると判明でき、病状の重さも判ります。

さらに、手術後はhCG値が急激に下がりますが、手術で除去したにも関わらずhCG値の高値が続いている場合は、胞状奇胎の再発、あるいは、侵入奇胎や絨毛癌の可能性がたかいため、定期的な通院で検査が必要となります

子宮全摘出手術

胞状奇胎の子宮内容除去手術を終えた後の経過観察で、順調にhCG値が下がり、20週後で標準レベル(カットオフ値)まで下がります。
ところが、hCG値が順調に低下しなかったり再上昇する場合、侵入奇胎の可能性や今後の絨毛癌の発症が考えられます。

その際、年齢が40歳以上ですと絨毛癌の発症リスクが高いため、子宮全摘出手術が行われ、また、今後の妊娠を希望しない患者さんの場合も同様に行われます

しかし、年齢も若くて将来的に妊娠を希望される患者さんについては、病理検査などの諸検査の結果も踏まえ、患者の生命に係わる場合のみ行われます。
そして、子宮全摘出手術の方法には、お腹を切り開いてする開腹手術、膣から器具を入れてする膣式手術、お腹に数か所の穴を開けてする腹腔鏡下手術の3種類があり、それぞれのメリットやデメリット、患者の希望などを考慮して選択されます。

入院するか ? かかる費用はどのくらい?

胞状奇胎 入院するか ? かかる費用はどのくらい?

まず、子宮内容除去手術では手術後に安静にして、体の回復具合で退院を決めますが、日帰りまたは翌日退院という所が多いようです。
費用は保険適用3割負担として、概ね2~10万円ぐらいです。

また、子宮全摘出手術での入院はやや長くなり、開腹手術で7~14日程度、膣式手術と腹腔鏡下手術で5~8日程度です。
そして、費用の負担額も保険適用3割負担で、20~25万円程度の負担が必要となります。

ただ、生命保険に加入していると「女性疾病入院給付金」が保険によって支給される場合があるので、両手術とも保険会社への問い合わせをしてみるといいでしょう。

術後生理が再開するのはいつ? 妊娠はいつからできる?

子宮内容除去手術後は通院を続けて、hCG値が下がるのを経過観察します。
そして、通常は20週程度以降には妊娠をしていない時のレベルまで下がります。

生理は8週程度以降からすでに始まっており、妊娠もできる状態ではありますが、規則的な基礎体温の変化と、周期的に生理がやって来ることで、はじめて胞状奇胎の治療が上手くいったことが判りますので、それまでの間は性行為を控えて避妊しなければなりません。

また、絨毛癌は数年の潜伏期間を経てから現れることがあり、医師は6か月~2年程度まで、hCG値の増減の経過観察を続けます。
そして、hCG値の順調に下がり、基礎体温の2相性と規則的な生理が2~3周期来れば、妊娠は問題なくできるようになります。

しかし、子宮全摘出手術の場合では子宮を摘出していますから、生理が来たり妊娠したりすることはありません。
ただ、ホルモンバランスや排尿などで後遺症的な症状が出ることがあり、失禁の症状が出ることがあります。

仕事復帰はいつからできる?

子宮内容除去手術でも子宮全摘出手術においても、職場への早い復帰をと考えがちですが、上司や同僚などへ手術のことを話して、理解を求めて置くと余裕をもってお休みして頂けます。

しかし、比較的短い方が多く、子宮内容除去手術では4~5日程度が多いようです。
ただ、術後2~3日不正出血と腹痛があったり、それに加えて精神的なことからの体調不良で、1~2週間休まれて仕事復帰する方も居られます。

さらに、子宮全摘出手術では手術の種類により多少ばらつきがあります。
膣式手術は1週間程度、次いで腹腔鏡下手術が2週間程度、開腹手術では1か月ぐらいで、概ね4週間~2ケ月間程度のお休みを取られるようです。
この間は、日常の基本的動作がままならない状態からの回復や、術後の後遺症的な違和感に慣れる時間などで長くなっているようです。

したがって、子宮内容除去手術あるいは、子宮全摘出手術のいずれにしても、心身両面へのダメージが意外に大きく、お休みの期間も個人差が生じてしまいます。

術後の予後

胞状奇胎 術後の予後

胞状奇胎の一連の治療において、最も大切かもしれないのが、各手術後の予後での検診結果です。
これは、医師にとっての治療の礎ともなるもので、患者の回復度を診るためには大切なものになります。

hCG値の推移を観察

子宮内容除去手術で、胞状奇胎を含む子宮内容物を除去したにも関わらずhCGの高値が続いている場合は、胞状奇胎の再発、侵入奇胎や絨毛癌の可能性が考えられます。
このとき、hCGの測定の他に、βhCGの測定も行われます。

このβhCGは、hCGを構造的につくる2つのタンパク質高分子の一つであり、それぞれをサブユニットと呼んでいます。
その一つであるαサブユニットは、黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモンなどとアミノ酸配列が類似していますが、それに対して、このβサブユニットは特異的構造をしていることから、より確実な測定値を得ることができます。

それで、βhCGの測定は妊娠の早期確認が可能であったり、異常高値を示した場合では胞状奇胎や絨毛癌などの絨毛性疾患のほか、卵巣・子宮・肺・膀胱・消化器などの悪性腫瘍や肝硬変・消化性潰瘍・潰瘍性大腸炎などの良性腫瘍などが疾患として考えられます。

したがって、医師は絨毛癌が疑われる場合は、特異性の低いhCGの値に追加して、特異性のあるβhCGの値も測定し、より確実な診断及び臨床所見を出します。

また、胞状奇胎を摘出してからhCG値がゼロとなるまでを一次管理と呼びますが、この期間後の1年間~数年間でhCG値が再上昇し、高い値を示して侵入奇胎や絨毛癌などが疑われる場合、血液中のhCGとβhCGの検査や超音波検査、MRI、CT、胸部X線検査などが必要に応じて行われます。
この期間を二次管理と呼んで、基本的には制限を設けずに経過観察が続けられます。

侵入奇胎の診断があった場合

侵入奇胎のほとんどが胞状奇胎発症後6か月以内に発生することが多く、症状としては性器の不正出血や下腹部痛で、症状が全くない場合もあります。
子宮内容除去手術を行ってからのhCG値の経過観察が早期の発見につながり、絨毛癌への移行を防ぐことになります。
ところが、hCG値の下がり方が順調でない場合は、侵入奇胎の可能性が出て来ます。

そこで、将来に妊娠を望む患者には、超音波検査や胸部X線検査などの諸検査を駆使して、病巣の有無や場所を確認します。
しかし、これらの検査や病状所見からだけで、医師が侵入奇胎や絨毛癌を判断することが難しく、日本産婦人科学会ではhCG値による判別線のグラフと共に「絨毛癌診断スコア」を発表し、実際に多くの医師がこれから診断を導き出しているようです。

抗がん剤の投薬治療

胞状奇胎 抗がん剤の投薬治療

侵入奇胎は悪性腫瘍という訳ではありませんが、およそ三人に一人程度の方が肺や膣などに転移をしていると言われ、治療ではhCG値の経過観察をしながら、抗がん剤を反復投与します。

その抗がん剤の一つに、MTX(メトトレキサート)があり、侵入奇胎や絨毛癌に最も使用されている薬剤で、通常は1日にMTX20mgを5日間、上腕または殿部に筋肉注射します。
それから、2週間程度の休薬をしてから反復投与されます。
しかし、肝機能障害や口内炎などの副作用を伴い、これら以外にも、吐き気や嘔吐のほか、赤血球・白血球・血小板の数が減る骨髄抑制を起こすことがあります。

この副作用の軽減のため、ロイコボリン5mgとMTX50mgを交互に1日ずつ8日間筋肉注射、2週間程度の休薬期間を取って反復投与する場合もあります。

また、他の癌にも有効な抗生物質であるAct-D(アクチノマイシン)を同様に反復投与する場合があり、このAct-Dを0.5mgずつ5日間、前腕に静脈注射し、2週間程度の休薬期間をおいて反復投与します。
副作用は少ないですが、壊死性の皮膚炎があり、皮膚が死んだ状態になって患者は高熱となります。
この点を除けば、効果の期待できる薬剤です。

侵入奇胎の手術治療

侵入奇胎での手術治療は「基本的には行わなず」投薬治療をしますが、将来において妊娠を希望しない場合や大量出血により命に係わる場合などでは、積極的に行われます。
この際、子宮筋層まで及んでいる侵入奇胎では子宮全摘出手術が行われます。

また、40歳以上の患者の場合では、絨毛癌への移行のリスクと再発の可能性が高くなるため、手術治療が選択されることが多いです。

治療後の妊娠はできる?

胞状奇胎 治療後の妊娠はできる?

理論上は、子宮全摘出手術による治療の場合は妊娠は出来ませんが、投薬治療の場合は可能です。
しかし、医師による予後管理下では「妊娠をしないように!」と強く止められる場合があります

なぜかと言えば、医師はhCG値を数年にわたり血液検査などで管理し、胞状奇胎の再発や絨毛癌を防ごうとしていますが、通常の妊娠においてもhCG値が上昇するため、hCG値の上昇が胞状奇胎によるものなのか、妊娠によるものなのか、どちらかわからなくなるからです。

それで、hCG値がカットオフ値になって数年後までの医師の許可が出るまでは、妊娠はできないわけですが、妊娠については医師と相談しながら、計画的に進めていくようにしましょう

絨毛癌まで進展した場合

絨毛癌も侵入奇胎と同様に子宮筋層内に腫瘍を形成しますが、増殖や進展するのが格段に速く、およそ65%以上の確率で肺への転移が認められます。

また、肺だけに留まらず、肝臓や脳、腎臓など全身に転移する可能性もあるので、腹部や胸部、頭部の造影CT、エコー、MRI、腫瘍マーカー(βhCGの測定値)の各検査と絨毛癌診断スコアなどによって、全身の絨毛癌の転移病巣の確認や絨毛癌への罹患の確率を医師が臨床診断します。

このときの患者の自覚症状としては、hCGの分泌が盛んになり、基礎体温が高温のままになっています。
さらに転移が始まると、肺転移によって咳や胸痛、脳への転移で頭痛や手足の麻痺、痙攣、加えて意識障害も起こることがあり、肝臓への転移では腹痛などの症状があります。

抗がん剤の多剤併用投薬による治療

胞状奇胎 抗がん剤の多剤併用投薬による治療

悪性度の高い絨毛癌ではきちんと治すために、MTX(メトトレキサート)やAct-D(アクチノマイシン)以外にも、何種類かの薬を併用して治療に使います。
まず、mtXとAct-Dに、強い抗癌作用のエトポシドを加えたMEA療法という3剤併用療法があります。
投与期間を3~5日、休薬期間を2~3週間取り、hCG値が下降するまで反復して治療を行います。

このエトポシドは肝臓や卵巣に機能障害をもたらし、脱毛などの副作用も持っていて、前述の2剤と共に併用すると高いリスクを伴いますが、8割程度の寛解率が望めるためによく行われる投薬治療です。

次はこの3つの薬剤に、シクロホスファミドとビンクリスチン(商品名:オンコビン)の2つの薬剤を加えたEMA/CO療法という5剤併用療法があります。
加えた2剤は細胞やDNAを阻害する副作用を持ちますが、乳癌や悪性リンパ腫などの抗癌剤としても使われているものです。

また、この多剤併用投薬治療は世界でも広く行われていて、5年生存率が85%以上あると報告されています。
治療法は、2日間のEMA投薬、1週間の休薬、1日間のCOを投薬、1週間の休薬と、これを反復して治療します。

続いて、EMA/CO療法でCO投薬をEP投薬(エトポシド、プラチン)にするEP/EMA療法があり、エトポシドがEPとEMAで使われますから、4剤併用療法になります。

ここでのプラチンは異性体のシス体・トランス体のうちのシスプラチンで、高い腫瘍収縮効果を持つものですが、腎機能障害を起こす副作用があるため、他の療法が上手くいかない患者や再発をした患者への投薬を主としている療法です。
そして、その寛解率も80%を超えています。

手術による治療

絨毛癌の手術による治療は、抗がん剤治療において抵抗性を示したり、制御が困難な出血があるとき、子宮全摘出手術や転移病巣の除去手術が必要になることがあります。

例えば、脳への転移の場合であるならば、開頭手術が必要になりますので、婦人科腫瘍の専門医の他に脳外科手術の専門医など、転移場所に応じた医療体制を敷かなければならないので、大学病院などのように他科の協力が得やすい総合医療施設が望ましいでしょう。

そして、近年は絨毛癌の生存率が90%を超えるという報告もされており、勇気をもって治療に臨むことが重要です。

二次的に発生するがん

胞状奇胎 二次的に発生するがん

胞状奇胎の手術後の予後中は1~2週間間隔で通院し、hCG値の増減を見守らなくてはなりません。
というのも、全胞状奇胎の10~20%、部分胞状奇胎の0.5~4%の確率で侵入奇胎へ、さらに、全胞状奇胎の1~2%が絨毛癌へと進行します。
この絨毛癌の発症は約半数が胞状奇胎後に、のこりが流産や子宮外妊娠で、そして、正常妊娠でも罹患しています。

その絨毛癌のおよそ3分の2という高い確率で、肺転移が認められています。
これは絨毛癌が、血液を通して遠隔位置にある肺への転移である血行性肺転移の確率が極めて高いためであるからです。

肺には毛細血管やリンパ管が張り巡らされているために、遠隔転移で癌が運ばれて来たり、他の臓器へ運んでしまったりと、他臓器への転移に注意する必要があり、自覚症状には、咳や痰、息切れ、息苦しさ、胸の痛みなどの呼吸器系の症状が出ますから、胸部X線検査などで病巣を確かめる必要があります。

ただ、肺に転移してしまうと、局所的な治療は初期の場合を除いて難しくなるため、抗がん剤治療を主に行い、同時に脳や肝臓、腎臓などへの転移の確認のため、全身のCT検査などによる画像検査も不可欠となります。

再発の可能性は?

胞状奇胎の子宮内容除去手術後の経過観察で、hCG値が順調に下がり、ゼロとなる一次管理を終えると二次管理に入ります。
二次管理では期間に制限を設けず数年間は経過観察をし、hCGおよびβhCGの値が再上昇する徴候がない場合には、再発の可能性が薄いと診断します

しかし、症例を統計的にみると再発の可能性は、初めて胞状奇胎になった場合と比べて10倍程度の約2%、つまり、50人に1人が再発をしていることになります。
さらに、これが40歳以上ですと、再発の可能性は4~6%程度まで跳ね上がります。
それに、ごく稀に10年近く経ってから再発する人もいて、胞状奇胎の潜伏期間が長くなるときもあるため、基礎体温を必ず付けて不規則になったり、高温のままであったりしたら、婦人科での診察をして貰うようにして下さい。

治療後妊娠した方のブログ紹介!

胞状奇胎 治療後妊娠した方のブログ紹介!

杏のsourireな毎日

20数年忘れかけていた病気
・・・20代半ばで3人目を妊娠した時に、異変が起こりました・・・流産と同じ治療と子宮内除去手術を2回 治療しなければ癌化する可能性があるので化学療法・・・副作用はでるものは全部私を襲いました・・・そして、悩みに悩みに悩みに悩んで5年後に妊娠計画 だって、どーしても女の子が欲しかったんで、生まれたのが可愛いボクちゃんでした・・・

引用元: ameblo.jp

最終更新日: 2017-04-16

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