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性同一性障害の原因が知りたい!遺伝の可能性は?育て方が関係しているって本当!?

性同一性障害とは生まれ持った生物学的性別と心理的な性別が一致しない障害のことを言います。体は男として生まれてきても心は女であったり、体は女であっても心は男であったりという状態です。性同一性障害の原因は何なのか、また間違えやすい疾患、周囲の人の接し方などを紹介していきます。

性同一性障害の原因は妊娠中にある可能性

性同一性障害の原因は、妊娠中にあるのではないかという説があります。
一体どのような影響が考えられているのでしょうか。

妊娠中に胎児が浴びるホルモンが原因という説

ホルモンが胎児の脳に影響を与える!?脳の性分化とは

性同一性障害(性別違和) ホルモンが胎児の脳に影響を与える!?脳の性分化とは

赤ちゃんのもととなる受精卵は、最初の時点では男女の区別がありません。

男の子の場合は受精後2~3週目に精巣が作られて、その精巣から分泌される男性ホルモン「テストステロン」を浴びることによって生殖器が作られていきます。
その後は胎内で女性ホルモン「エストロゲン」を浴びながら成長していきますが、生まれる直前に母親から分泌されるテストステロンを浴びて、脳が男性化すると言われています。
この2回目のテストステロンがしっかり浴びられない場合、体が男性で脳が女性という性同一性障害になるという説があります。

女の子の場合は、受精後ずっとエストロゲンを浴びてきたのに、何らかの事情でテストステロンを浴びて脳が男性化してしまうことで、性同一性障害になると言われています。

妊娠中のストレスが原因か

性同一性障害には前述したように、妊娠中に胎児が浴びるホルモンに原因があるという説があります。
そうなると、当然妊娠中の母体の体調も関わりがないとは言えません。

特に強いストレスがかかると、ホルモンバランスを崩しやすいとも言われています。

原因ははっきりと分かっている訳ではないので、どのくらい影響があるのかは今はまだ不明ですが、妊娠中は心身共に健やかに過ごせるようにしましょう。

遺伝子(性染色体)検査で分かること

性同一性障害(性別違和) 遺伝子(性染色体)検査で分かること

性同一性障害かどうかを診断するためには、遺伝子(性染色体)検査を行う必要があります。
この性染色体に異常が見られる場合は、インターセクシャル(半陰陽)と診断され、性同一性障害とは違う性分化疾患ということになります。

性分化疾患とは、染色体や生殖腺が先天的に非定型的である状態を指します。
性同一性障害であるかどうかは性染色体検査に加え、ホルモン検査、内・外性器の検査、ジェンダー・アイデンティティの判定などが行われます。

性同一性障害と発達障害の関係

発達障害には自閉症やアスペルガー症候群、多動性障害、学習障害、チック障害などが含まれています。
生まれつき脳の一部の機能に障害があるという共通点があります。

思春期の頃に「自分は他の人達と何かが違う」「自分の性に違和感を覚える」といったことで悩み、性同一性障害ではないかと思い受診するケースもありますが、このときに発達障害が見つかることも少なくないと言われています。

性同一性障害は「生物学的な性が明らかであるのに対し、心理的には体とは別の性を持ち、自分を生物学的・社会的な性とは反対の性に適合させようとする」障害のことです。

発達障害とは全く別の障害ではありますが、性同一性障害と思って受診した場合に、発達障害との診断を受けるケースも珍しくないようです。

性同一性障害が後天性である可能性について

育て方は原因ではない

性同一性障害(性別違和) 育て方は原因ではない

前述したように性同一性障害の原因は、母親の胎内にいる時点で脳の性分化が行われているというのが、現在の有力な説です。
育て方とは関係がないと言われています。

生まれてくる前から体と心の性が一致していないため、生まれた後の環境が問題になることはありません。
性同一性障害の場合、「自分の育て方が良くなかった…」と自らを責める親御さんもいますが、それは間違った捉え方です。

この障害への知識を正しく持ち、悲観的にならずに、「これから」のことを子どもと一緒に考えていくようにしましょう。

ストレスやトラウマが関係している可能性も

性同一性障害は先天的なものなので、生まれた後に受けたストレスやトラウマは関係がないと考えられています。
これらが関係してくる疾患には、

  • 解離性同一性障害
  • パニック障害
  • うつ病
  • 社会不安障害
  • 摂食障害

などが挙げられます。

後から気づくことも

生まれた時点で本人が性同一性障害と認識することはありません。
成長していく過程で本人が自覚することもあれば、周りにいる人が本人よりも先に気付くケースもあります。

本人が自分の性に違和感を覚える場合は、小学校高学年までの時期に自覚することが多いとされています。

子どもが安心して悩みを打ち明けやすい環境を作ってあげておくことが大切だと言えるでしょう。

LGBTQや性別違和と性同一性障害

性同一性障害(性別違和) LGBTQや性別違和と性同一性障害

LGBTQとは

LGBTとは

まずはLGBTの意味からおさらいしましょう。

LGBTとは、

  • L…レズビアン    (女性の同性愛者)
  • G…ゲイ       (男性の同性愛者)
  • B…バイセクシャル  (両性愛者)
  • T…トランスジェンダー(体と心の性が一致しない人)

という4つのタイプの頭文字を取った言葉です。

クィアとは

しかし近年、このLGBTに当てはまらない人達はどうなるのかということで、「LGBTQ」という言葉が使われ始めました。

このQとは「Queer(クィア)」の頭文字で、一般的には「変わり者」といった意味で使われることが多いのですが、それを「個性的」というポジティブな意味で捉えています。

LGBTの4つのタイプに当てはまらない性的マイノリティの人を「Q」の文字で現しているのです。

性同一性障害とトランスジェンダーは違う

性同一性障害(性別違和) 性同一性障害とトランスジェンダーは違う

性同一性障害の定義

性同一性障害は「生物学的性別と、性別に対する自己意識または自己認知(ジェンダーアイデンティティー)が一致しない状態」と定義することができます。

体は男性だが「自分は女として生きるのがふさわしい」、体は女性だが「自分は男性として生きるべきだ」と確信することです。
このように体と心の性の不一致から悩み苦しむことを性同一性障害と呼んでいます。

トランスジェンダーは広いくくり

TRANS…「逆側に行く、乗り越える、超越する」
GENDER…「性」

トランスジェンダーはこの2つの言葉の合成語で、「体と心と性別に差がある」ことを意味しています。
法律的・社会的に与えられた性別にとらわれない性別の在り方を持つ人で、とても広いくくりとなっています。

性同一性障害も含まれており、性別に対する何らかの違和感を持っている人の総称です。

例えば、「体と心の性は一致しているが、その性別と逆の服装や振る舞いを好む人」「自分の性に違和感はあるが、わざわざ体まで逆の性にならなくても問題ない」というように、多様性を持った性概念です。

性同一性障害は病気であるか

性同一性障害(性別違和) 性同一性障害は病気であるか

「障害」という言葉が使われているため「病気ではないか?」と考える人もいるかもしれませんが、これは医学用語であるためこう呼ばれています。
ですから、本人は病気として捉えていない、という人もいます。

しかし、性同一性障害を病気としてとらえるかどうかは、とても難しい問題です。
「性同一性」というもの自体が病気ではなくても、それが原因で悩んだり苦しんだりして、うつ病などの精神疾患になるケースがあります。

また、性別適合手術(心と体の性を一致させるための手術)を考えている人にとっては、「医療」との関わりが必要不可欠。
「性同一性障害」という病名があることにより、それらがスムーズに進むというメリットもあると言われています。

病気ではないという考え方も

性同一性障害を一つの「個性」としてとらえる考え方も広がっています。
そもそも「普通」とは何なのか…「健康」や「正常」は、一体何を基準にしているのかを改めて考えてみることも必要なのかも知れません。

昔からある考え方や多数派の意見が、自分や社会の基準となってしまっていること。
それが性同一性障害を病気として位置付けている要因になっていることも否定出来ないのではないでしょうか。

性別違和について

性同一性障害は生物学的には男性もしくは女性であるのに対し、脳は反対の性になっている場合を指しますが、性別違和は「自分の性に違和感を覚えてはいるものの、反対の性になりたいという訳でもない」というケースを言います。

自身の性別に対し少なからず違和感を持っているものの、特別な治療や手術を望むことはなく、一方で医師に対して診断書を要求したときに記される病名です。

性同一性障害と間違えられやすい精神科疾患

性同一性障害と似た精神障害

性同一性障害(性別違和) 性同一性障害と似た精神障害

アスペルガー症候群

アスペルガー症候群の原因はまだはっきり解明されていませんが、遺伝的要因、妊娠中や出産時もしくは出産後すぐに、何らかの障害のために脳の特定な部分に障害が生じて引き起こされるのではないかと、考えられています。
自閉症の一つに分類されますが、会話や勉強も普通にでき、人前で独り言を言うこともないため、一見して自閉症とは分かりにくいと言われています。

アスペルガー症候群では、

  • ほかの人といる時に、どのようにふるまうべきか分からない
  • 自分の思っていることをどうやって相手に伝え、相手のことをどう理解するかを考えることが難しい
  • 想像する、想定するといったことが苦手

といった症状が見られます。

統合失調症

以前は精神分裂病と呼ばれていた病気で、妄想や幻覚が特徴的な症状です。
周囲から「常識がない」「社会性がない」「怠けている」などと見られやすい生活上での障害や、会話や行動、感情、意欲の障害といったものがあります。

統合失調症の原因は明らかになってはいないものの、神経伝達物質の異常や脳の前頭葉や側頭葉の体積減少といった、軽度の変化が患者さんに見られると言われています。

適応障害

世界保健機構のガイドラインによると、適応障害とは「ストレス因によって引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されています。

情緒面症状

  • 抑うつ気分
  • 不安
  • 怒り
  • 緊張
  • 焦り など

攻撃的な行動

  • 過度の飲酒
  • 暴食や暴力
  • 無謀な運転
  • 無断欠席
  • けんか など

また、不安が強く緊張が高まるとドキドキする、発汗、めまいなどの症状が現れます。

うつ

性同一性障害(性別違和) うつ

うつ病は精神的ストレス、身体的ストレスが重なることなど様々な理由から脳に機能障害起きている状態です。

  • 抑うつ気分
  • 落ち込み
  • イライラ
  • 焦燥感
  • 集中力や決断力の低下
  • 好きなことにも意欲がわかない
  • 死にたくなる
  • 睡眠障害
  • 頭痛
  • めまい
  • 肩こり
  • 発汗
  • 食欲不振
  • 疲労倦怠感
  • 下痢や便秘

などといった心身の症状が見られます。
薬物治療、精神療法などを中心に治療が行われます。

多重人格

解離性同一障害とも言われる疾患です。
非常に強いショックを受けた際に、自分の事ではないように感じたり、その時の記憶や感情を思い出させないようにしたりする自己防衛反応です。

患者は複数の人格を持ち、それらの人格が交代で現れます。
別の人格が出現している時はその間の記憶が失われているため、生活していく上で様々な支障を来します。

「自称・性同一性障害」とは

性同一性障害(性別違和) 「自称性同一性障害」とは

性同一性障害が自称なのか、事実なのかを判断するのは難しい問題です。
性同一性障害自体が自称からスタートするものであることから、ある程度長期に渡って経過観察を行い、診断するようになります。

  • 自分自身が性同一性障害と思うのはなぜか
  • どういう意味で性同一性障害という言葉を用いているのか

などを問いかけ、ある程度の期間診察をしていくことで、当初は隠されていた心の中が現れて来たり、性別に抱いていた違和感に変化が見られたりすることもあります。

同性愛や趣味での異性装、素人判断での思い込みなどを性同一性障害と誤って認識している人もいます。
ですから、まずは性同一性障害というものを正しく理解し、自分のこれまでの人生を語ってもらうことで、性別違和への感情や考え方などを確認していく必要があります。

性同一性障害の人への接し方

我が子が性同一性障害かも…そんな時の親の対応

子どもたちが抱える葛藤

性同一性障害(性別違和) 子どもたちが抱える葛藤

男の子は「男らしく」女の子は「女らしく」、その考え方にとらわれ、辛い思いをしてきた人たちは少なくありません。
それでも、以前に比べればそういった考え方に疑問を投げかける人も多くなり、LGBTQへの理解も少しずつ広がってはいます。

しかし、子ども達の世界では、それを理解するのは難しく、

  • 良い
  • 悪い
  • 正常
  • 異常

などの単純な言葉でしか表現できないため、子ども達が抱える葛藤は大人の想像以上のものがあると思っていいでしょう。

性同一性障害を子どもに教えるのは簡単ではありませんが、これまでの正常や普通といった観念を取り除き、様々な個性があることを説明していく必要があるのではないでしょうか。

性同一性障害の子どもに対応する学校は増加している

性同一性障害から、

  • 制服を着たくない
  • トイレに入るのが苦痛
  • 着替えるのが嫌

といった悩みを抱える子どものために、誰もが快適に過ごせる学校生活を送れるような取り組みも始まっています。
例えば、

  • 男子トイレや女子トイレだけでなく、誰でも使えるトイレ(多目的トイレ)の設置
  • 指定されている制服、体操服、水着などは、本人の自認する性別の物の着用を認める
  • 更衣室は多目的トイレや保健室の使用を認める
  • 校内文書は生徒本人が希望する呼称で記す 

などといったものがあります。
浸透していくまでには時間がかかるかも知れませんが、性同一性障害であっても快適に学校生活を送れるようになる日が少しずつ近付いてきていることは間違いありません。

性同一性障害の人への考え方が寛容?タイのお国事情

徴兵制度があるタイでは、ニューハーフになると徴兵を免れるといった理由から、ニューハーフになる人が多いという考え方もあるようです。
また、貧困が原因で男性が水商売に入るというケースも少なくありません。
更にはタイが仏教メインの国であることから、イスラム教やキリスト教に比べてニューハーフなどのほかの性に対する差別意識が小さいからとも言われています。
そればかりではないとしても、日本よりは性的マイノリティに対する考え方が寛容というイメージが強いことは間違いありません。

さらに、タイに行って性別適合手術を行う人が多い理由は、これまでの症例数が多いことにより、技術レベルも上がっているからと言われています。
何となく値段の面でのメリットと思いがちですが、実際は技術面が大きく関係しているようです。
こういったことが「性同一性障害への考え方も寛容な国」というイメージを作り出していると言えるのでしょう。

誰もが生きやすい社会へ

性同一性障害(性別違和) 誰もが生きやすい社会へ

まずは性同一性障害に対する正しい知識を持ち、それが浸透していくようにすることが大切です。
偏見や差別的な考え方が残っている限り、誰もが生きやすい社会を実現することは出来ません。

「男」「女」で分けられるのではなく、私達ひとりひとりが人としての「個性」を大事にする世の中を作り上げていく努力が必要です。

最終更新日: 2017-04-16

タグ:
性同一性障害(性別違和)

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